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もう10年、気付けば過ぎていた。余りにも色々なことがありすぎて、自分の許容量を超え続けている。
ソファに腰かけた俺に肩を預け、傍らに眠るこの男もそうだ。初めて逢ったときから常に色々な問題を起こして、俺の神経を削っている。 本人には自覚がないのか、わざとなのか。きっと後者だ。
「骸」
起こさないように呼ぶと、僅かに睫毛が揺れるだけでそれ以上の反応はない。
(油断しきってんな…)
自分達以外を敵と見なし、常に気を張っていた昔とは随分な差だった。今はただ、穏やかに寝息を紡ぐだけ。
「骸」
口付けたら起きてしまうだろうか。それでも、その瞳が見たくなったから。
肩に流れる髪を絡み取って、吐息を塞いだ。
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